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2005年11月19日 (土)

問題再考-胡錦濤体制で何が変わったか・前編

 最近私の興味の中心は専ら中国という国のことに傾いている。なぜなら、中国という膨大な人資源を抱えた国はこの先少なくとも発展するだろう。そして飛躍的な発展の契機となるのは、北京五輪や台湾次期総統選挙が行われる今後5年間のうちであることが十分に予測されるからである。そんな予測がある中で、現在の日本は何度も言うように中国との高官クラス外交が断絶状態にある。反中的な意見からは断交状態も小気味良しという声が聞こえそうだが、民間レヴェルでの経済交流は今も続いているのであり、両国が企業の動向に気を配り御する必要があるのは当然のことである。また、もし中国が2008年前後に迎える峠を乗り越え、経済大国としての道を踏み出したならば、近隣国である日本はその産業に多大な打撃を受けることを免れない。つまりここで主張される日中関係の改善とは、日本自らが他国の経済台頭と表裏一体となっている自国産業への脅威という事象に対してよりよく対応するための最初の態勢作りに他ならない。このように説明しなくとも、経済関係によって形成される現代の国際社会において、外交断絶状態が双方におよそ負の結果しかもたらさないことに異論を挟む人はいないだろう。対外強硬策ではない、真の外交優位を作り出すためには、まずもって中国との関係改善が要求されるべきである。

 さて、最近の中国動向について調べる上で、私は去年から今までの「中央公論」のバックナンバーを読み漁った。そうすると、面白いことに気付かされた。現在中国の最高指導者は胡錦濤であるが、胡錦濤体制が出来上がったのはつい最近、江沢民が権力の座から退いた昨年9月のことである。その体制移行を受けて去年11月号の中央公論誌上では特集が組まれた。特集では数多の論客が日中関係の帰趨を占う論文を掲載していたが、それらの論文に概して共通することは、胡錦濤体制下では旧江沢民体制下よりも反日的色彩が弱まり、ともすれば日中の経済関係促進のために親日的にもなり得るのではないかということであった。中には米国シンクタンクの役員が投稿した記事で日米中の関係緊密化のために中国は日中関係の強化を欲するだろうとするものまであり、全体的に中国新体制は日本にとって友好的な評価を下し得るものとなっていた。そのように好意的に予測された胡錦濤体制下で、なぜこのような日本との関係悪化の最悪のシナリオに踏み込むことになったのか、このことを中国がこの約一年間で辿ってきた道筋から再考してみたいと思う。

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