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2005年11月21日 (月)

問題再考-胡錦濤体制で何が変わったか・後編

 二日に渡って中国が胡錦濤体制の元でここ一年間辿ってきた軌跡を振り返ってみたが、本日はそれを踏まえて中国と日本のリレーションシップ(関係)はどうあるべきかという点について論じてみたい。

 日中関係は民間での結び付きが強まり、一方で政府間のやりとりが途絶されていることは既に確認した。これは一般的に「政冷経熱」と呼ばれているが、マルクスの理論によって考えると、経済関係に従って政治関係もやがては緊密になっていくだろうという長期的視点に立った予測があり、これを拡大均衡シナリオと言う。一方で、政治的な軋轢を止めることができない場合は、経済関係までが冷え込んでしまう結果になる。これを縮小均衡シナリオと言う。一度深化した経済関係は簡単に断ち切れないのが普通だが、政治的関係から経済に関して重大なリスクが及びかねない場合、中国からの日本企業の撤退をもって縮小均衡シナリオが進行し、拡大均衡シナリオへの希望が断たれてしまう可能性もある。反日デモに際して現地の日系企業が被害を受けたことなどはこうした可能性を現実に示唆するものである。このようにして両国関係が一転して官民共に縮小へ向かう可能性も否定はできない。

 日中両国の民衆は歴史問題などで伝統的にいがみ合ってきたが、特に中国民衆の間には政府の教育洗脳政策によって盲目的反日オピニオンが形成されている。だが一方で商業提携などを通じて日本を知る機会が多い人々の間では比較的日本への理解度が高い。自由な言論が封鎖された共産主義立国に対抗しうる武器は、西欧国家が生み出した自由で民主的な思潮の他にない。日本は経済交流を通して中国の閉鎖的な思潮に穿孔を穿ち、このような知日派を増やしていく地道な努力を進めていくべきである。

 中国国内の党派争いでは日本に対する態度が大きな要素となっていることは既に述べた。このことは裏を返せば、日本の態度如何によっては中国国内の勢力図が動かせるかもしれないということを示唆する。つまり、現状において日本には中国に対する潜在的な「内政干渉」の権利が与えられていることになるのだ。そこで例えば、軍だけに批判の的を絞ったりするような姿勢を取ることによって、外側から相手の内部勢力図を揺り動かすようにリードしていけるのではないだろうか。そういう方策こそが外交の妙味だと感じる。このような奇抜な発想でなくとも、現在の日中間のマイナスの膠着状態から抜け出すには、どちらかが受動的ではない能動的な外交を決断することが迫られているように思うのではあるが。

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