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2005年6月 3日 (金)

求められる情報管理の倫理

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)はプライバシー権を侵害し違憲だとして、石川県内に住む28人が国や県、住基ネットを管理する「地方自治情報センター」を相手取り、個人情報の住基ネットからの削除や損害賠償などを求めた訴訟で5月30日、金沢地裁の井戸謙一裁判長は「住基ネットからの離脱を求めている原告らに適用する限りにおいて、憲法13条(個人の尊重)に違反する」とし、石川県と同センターに対し、原告の個人情報の削除、行政機関等への情報提供差し止めを命じる判決を下した。住基ネットからの離脱を認めた判決は初めてであるが、判決理由に幸福追求権などを定めた曖昧な内容の憲法13条条文が引用されていることからして、今後判決は逆転する可能性がありそうだ。

 住基ネットは導入当初から個人情報流出の危険性が訴えられてきた。住基ネットは地方から国全体を包括するネットワークであるため、情報を保存している中枢部のネットワークに侵入できなくとも、その情報を共有している地方自治体の末端ネットワークから侵入して情報を盗まれる危険性があるのだ。既に優秀なハッカーはネットワークに侵入して個人データを盗み取っているかもしれないのである。

 98年にアメリカで公開された映画に「エネミー・オブ・アメリカ」というものがある。陰謀に巻き込まれたウィル・スミス演じる主人公の弁護士が個人情報を盗まれ、ハイテク機器で身元所在を追跡されるというストーリーである。そこで主人公と共に陰謀を暴く手助けをするのがジーン・ハックマン演じる元情報機関員なのであるが、そこに出てくる廃屋の中の彼の住居は、独自ネットワークを構築し外界とのコネクトを一切遮断したものであった。

 日本はユビキタス社会を標榜し、ネットワークによる家電などの全ての情報統御を行うことを目標としている。だがそれはパソコン一台をハッキングされただけで家の全ての機能が奪われてしまうことを意味しているのではないか。将来、映画に出てくる元情報機関員のように、外界との接触を一切断たなければ個人情報を守ることができない日が来るのかもしれない。

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