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2005年6月16日 (木)

EUとその内在する矛盾の拡大

 EU(欧州連合)は近年拡大を続け、加盟国の通貨をユーロに統合して米国のドル経済圏に対抗するなど、世界経済の重要な一角を担う地位にのし上がってきている。EUはベネルクス三国(ベルギー・オランダ・ルクセンブルク)の経済的同盟が元となって拡大したものであるから、経済的な結びつきは非常に強力である。ヨーロッパ経済圏はその経済的協調関係において、電力の輸出入を可能にするなど、一種の理想的形態になっていると言えよう。その経済的結びつきを更に強化すると共に政治的結びつきも強めようと、EUでは欧州憲法なるものが建議された。欧州憲法はEU各国で国民投票が行われたのだが、フランスとオランダで否決されるという結果になってしまい、政治的経済的統合を進めつつも内部で各国の利益を巡っての矛盾が拡大していることが浮き彫りになった。

 前述の通りEUは近年拡大を続け、数年前には東欧諸国も統合して一層巨大化した。だがそこには根本的に存在するそれぞれの国家の思惑の違いという問題、つまり政治体制の違いや経済構造の違いがあるのだ。それを無制限に統合しようとする動きは確実にEU各国の経済に犠牲を強いてきたのである。ユーロ通貨統合などの動きはEU経済圏を米国経済圏に対抗させようと無理をした結果の産物であるように思われる。
ヨーロッパ各国の経済はほとんどの国が長年の不景気に悩まされている。フランスでは失業率が10%前後であったりするのだが、日本が失業率5%前後で大騒ぎしているのとは桁違いである。その中で自国の経済ではなく「EU」としての経済の発展を促そうとする動きがこのような欧州各国の不景気を更に悪化させてきたことは想像に難くない。

 内在する矛盾を抱えつつも、急ぎ足で統合を進めることによって矛盾を見ないようにしてきたこれまでのEU統合の動きは、国民投票の否決という出来事によって、統合の動きはストップされ、しかも今まで無視してきた矛盾を見ることを余儀なくされた。既に各国経済の破綻は各国の政治体制の揺らぎとなって現れ始めている。これからEUはその内在する矛盾から各国政治体制の崩壊を招きEU自体が瓦解するのか、それとも強力なリーダーシップによって強行的に統合が進められるのか。今後もEU情勢からは目が離せない。

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