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2005年5月17日 (火)

鉄鋼業界の復讐

 鉄鉱石や石炭の供給価格上昇の影響などで国内の鉄鋼材が不足するという事態が続いている。鋼材が不足するというのは鋼材に対する需要が上がっていることでもあり、鉄鋼製造業各社は鋼材の供給価格を10%~20%つり上げるそうだ。これには自動車産業など国内の鋼材を使用する企業が猛反発しており、鋼材供給価格をめぐる激しい攻防はまだまだ続くようだ。

 鉄鋼といえば高度経済成長以後の日本の重厚長大型の産業を支えてきた業種である。しかしバブル崩壊後は鉄鋼不況が起こり、また阪神大震災では鉄鋼大手の神戸製鋼の工場が大きな被害を受けるなど、災難続きであった。そうして国内鉄鋼業は生産規模を縮小してきた経緯があるのだ。
ここ数年間でも鉄鋼業は幾度となく窮地に立たされた。日産のCEOに就任したカルロス・ゴーンが打ち出した再建計画(リバイバルプラン)は販売力の強化だけではなく、原料価格の徹底的なコストダウンも行った。その中で自動車業界に鉄鋼を供給している鉄鋼業界は日産から大幅な値下げを迫られたのである。日産の強引な交渉は「供給価格を引き下げないと鉄鋼の仕入れ先を他社に替える。」という半ば脅迫じみたもので、鉄鋼各社は渋々供給価格の引き下げを行った。その日産に対する値下げが原因で鉄鋼を仕入れている企業は次々と供給価格の引き下げを迫り、鉄鋼業界は一気に不況に陥った。これがいわゆるゴーンショックである。ゴーンショックにより鉄鋼業界全体が失った利益はおよそ一兆円とも言われている。

 それが最近では国内自動車メーカーの海外向け増産などで鉄鋼の需要が増え、鉄鋼が不足するようになってきた。国内自動車メーカーが鋼材に求める品質基準は極めて高く、世界で最も高品質といわれる国産鋼材に主に頼っている。逆に輸入鋼材は品質にばらつきがあり、効率的な生産には向かないという。
その高品質の国産鋼材が不足する中で、日産やスズキなどの一部の企業が原料不足から生産を一部休止に追い込まれた。この機会に今まで虐げられてきた鉄鋼業界は主導権を握ったのである。この分では鉄鋼の供給価格の交渉の趨勢がどちらに傾くかは想像に難くないことだろう。

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